2022年版日本建築行政会議「車両を利用した工作物」
2022年版日本建築行政会議『建築確認のための基準総則』 「車両を利用した工作物」について
トレーラーハウスは法的解釈が明確でなく、以前からトレーラーハウスは「安い」、「簡単に設置ができる」、「建築確認が不要」、「固定資産税がかからない」ということばかりが着目され、適法ではない設置がなされた使用例が多く見られたため、「車両を利用した工作物」の規定を元に建築物に該当するか否かが判断されるようになりました。
車両を利用した工作物- 適法に公道を移動できる車両とは
- 極端な設置例では、コンテナハウスなどに簡単なタイヤを取り付けただけで、「移動することが可能だから建築確認がいらない」などという強引な理論で建築確認申請を逃れようとした例もあります。
適法に公道を移動できる車両とは、公道を道路運送車両法、道路交通法などの関係法令に則して走行できるものであって、ブレーキや耐荷重、転倒角度等の安全基準が満たされないものは公道を走ってはいけません。
- 「車両を利用した工作物」の規定
- 「車両を利用した工作物」の規定には「臨時運行許可(仮ナンバー)や特殊車両通行許可等を受けたことだけでは「随時かつ任意に移動できるもの」との判断はできない。」とありますが、正にその通りで、特殊車両通行許可とは国道事務所が出す許可であり、道路行政ではどの道を通ったら事故がなく安全に運べるか、を判断した上で許可を出す部門です。
その為、トレーラーハウスが車両である以上、公道での運行には車検の取得は必須の要件であり、例外的に道路運送車両法の保安基準第2条の大きさの制限値を超えるトレーラーハウスについては、特殊車両通行許可だけではなく、公道を走行できる自動車として運輸局が一時的に認定する基準緩和認定書が必要になります。
- 公道を移動できる車両であることの証明が必要
- そのため、建築基準法第2条第1号で規定する「建築物」に該当しないトレーラーハウスを設置する際は、適法に公道を移動できる車両であることの証明が必要になります。
ただし上記の基準緩和認定や特殊車両通行許可は、申請から許可取得まで1~3ヶ月の期間を要すること、許可の有効期間が許可日から2カ月と短期間であること、許可条件が特定の出発地から特定の到着地までの「片道1回限り」の運行許可であることなどから、「随時かつ任意に移動できる」とは判断できないとし、適法に公道を移動できるトレーラーハウスを「車検付きトレーラーハウス」に限定する建築行政が全国的に多くなってきていますのでご注意ください。
- 「建築物」として使用する目的でトレーラーハウスを使用する場合
- 一方、「建築物」として使用する目的でトレーラーハウスを使用する場合は、タイヤを取り外して基礎の上への緊結、建物としての構造計算などを行い、建築確認申請が必要となります。
車両としてのトレーラーハウスは期間限定の事務所や店舗、グランピングなどの宿泊施設、2世帯や3世帯住宅、家を建てるまでの仮住まいや災害時における被災者支援としての活用など人のためになる使用方法が多くあります。