富士宮市都市計画課にお伺いし、
富士宮市独自の条例ができた経緯と
これからの対応についてお話をさせて頂きました。
富士宮市は、日本で数少ないトレーラーハウスの長期間定置を規制する条例を持っている自治体です。
富士宮市ではトレーラーハウスの長期間定置に関して、「富士山等景観保全地域におけるトレーラーハウスの定置の規制に関する条例」富士宮市条例第39号〈平成12年10月6日〉(改正 条例第29条〈平成21年10月26日〉)により規制しています。
条例で指定された地域内では、トレーラーハウスを建築基準法の規定に基づく建築物ではない設置(規模、形態、設置状況等から、随時かつ任意に移動できると認められる設置)をしたとしても、6月を超えてトレーラーハウスを設置することを禁じています。
何故このような条例を策定しなければならなかったのでしょうか。
原則として建築物が建てられない市街化調整区域において、有姿分譲が行われ、トレーラーハウスが林立し、別荘と同じ利用がなされているなどにより、
1.ごみ、生活雑排水、雨水排水などによる周辺環境及び地下水などへの影響
2.富士山麓の高原景観や良好な自然環境への影響
3.有姿分譲者の説明不足(建築物扱いとなる利用方法の説明
〈当該地に建築物を建築することができない旨の説明を含む〉等)による購入者の困惑
4.不特定多数の来訪による地元とのトラブル
5.規制がないことによる集団的なトレーラーハウス置場の拡大
などの問題が生じたため、結果として、市民からの「富士山などの景観や自然環境の保全に好ましくない。」との声で条例が策定されました。
協会からのお願い
富士宮市は、わが国の象徴であり、現在は世界遺産でもある「富士山」を抱え、~富士山の庭園都市へ~を景観形成の目標としているからこそ、上述の経緯を踏まえ、違法建築物扱いとなったトレーラーハウスの是正指導はもとより、適切に利用されるトレーラーハウスの長期間定置に関する条例をも策定するに至ったわけです。
しかし、条例策定の発端の一つには、トレーラーハウスユーザーが、建築物の建てられない市街化調整区域の土地において、随時かつ任意に移動できない状態で(建築物として)利用し始め、様々な問題を生じさせたことにあるのではないでしょうか。
このことは、トレーラーハウスを購入し、建築物として使用したいユーザーと、それを利用した悪質な業者により行われる脱法行為として、全国いたるところで問題になっています。
トレーラーハウスは、タイヤが付いている事から、移動できる利点を生かした、スクラップアンドビルドの必要のないエコロジーで環境を考えた新しい便利な商品です。
便利な商品であるトレーラーハウスを利用するにあたって、現行の法令を守っていかなければ、富士宮市で生じたような問題が起こり、同じような取り組みが各地に波及することも考えられ、本当に便利な用途に供することもできなくなります。
利用者の皆様は法令遵守を第一にトレーラーハウスを利用していただくようお願いいたします。
― 次回は横浜市を特集いたします ―